瓦のはなし

1.町を印象づける瓦

フィレンツェの町並み
フィレンツェの町並み

ドゥオーモの屋根
ドゥオーモの屋根

町並みの屋根
町並みの屋根

・「花の都」フィレンツェ

フィレンツェは15世紀に開花したルネッサンスの発祥の地、トスカーナの丘に囲まれた盆地に開け、「花の聖母教会」ドゥオーモを中心に当時の面影を残す館、教会が建ち並ぶ。そのドゥオーモの屋上から町を一望すると青い空に町の東西をゆったりと流れるアルノ川、オレンジなどの果樹園やオリーブの畑、周囲は緑の森に囲まれている、そして花を咲かせたような無数のオレンジの家並みが続く。

・京都・奈良

奈良もフィレンツェ同様盆地で市内が一望できるのが二月堂からの眺めである。東大寺大仏殿や興福寺五重塔、かなり町並みが壊されてきたとはいえ、古い瓦がいにしえの奈良を彷彿とさせてくれる。こうして考えてみると、単に雨や風を防ぐだけではなく、瓦というものは、町を印象づける要素の一つにあげられるのではないだろうか。

・「瓦」という字

瓦という字は中国から生まれた象形文字である。「瓦」には「粘土を固めて焼いて作った土器」と、「覆う」という二つの意味があり、従って、瓦 とは「物を覆う粘土製品」と考えることができる。もともと家は柱、梁、壁、屋根で構成されている。雨や風を防ぎ、寒さや暑さが直接伝わらないよう屋根には木の皮や板、土、石と何でも載せていたが、更に耐久性を増すために瓦が考えられたようである。